ダイコン

 

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①作物特性

ダイコンは私たちにとっては非常になじみ深く、日本人の食生活には欠かせない野菜です。煮物、漬物、サラダやおろしや刺身のつまなど、実に様々な利用方法があり、用途別に専門的な品種も古くから受け継がれてきています。近年はダイコンといえば青首大根が主流ですが、弊社ではこの青首大根をはじめ様々な交配種を販売しています。また全国各地の気候や風土に根ざした各地の地方品種やそれらを作りやすくした改良品種も準備しております。品種特性を知って使い分ければ、家庭菜園の楽しみも格段と増えるでしょう。
ダイコンは根が深く伸び肥大も著しいので、栽培する土の性質が生育や品質に大きく影響します。昔から「大根十耕」と言われるように、あらかじめ畑をよく耕しておくことがダイコン栽培には必要です。耕土が深くてやわらかく,保水力があり排水性のよい畑を準備することがポイントです。

②畑の準備

水はけの良い畑を選び、タネまきの2週間前には1㎡当たり堆肥2kgを入れ、よく耕しておきます。

堆肥がよく土と混ざってないと、「また根」の原因になります。また石コロなどは取り除き、土のかたまりも細かく砕いておきましょう。

タネまき前に、苦土石灰100g、化成肥料50gを施し、さらに良く耕してからうねを立てます。水はけを良くするためにうねの高さは15cmが適当ですが、水はけの悪い畑では高うねにします。春まきではとう立ちを防ぐために透明か黒色のマルチをします。また夏まきではウイルス病の予防も兼ねて銀色マルチをすると良いでしょう。

③タネまき

条間45cm、株間30cmでタネをまきます。タネは深さ約2cmのまき穴をあけ、1ケ所に数粒ずつまきます。聖護院ダイコンや三浦ダイコンなどは株間を40cmに広くし、逆にかわいい大根などミニダイコンは20cmに狭めます。タネをまいた後に強い雨が降ると土の表面が固まり、芽が出ないことがあるので注意します。

春は透明か黒色のマルチを。夏は銀色マルチ(シルバーマルチ)を用いると良いでしょう。

④間引き・追肥・中耕

通常2~3日で発芽します。本葉が出たら間引きします。間引きは一度にやろうとせず2~3回に分けて、しっかりとした株を残すように順次行います。

1回目の間引きは双葉が展開した時に3本に間引きします。次に本葉2~3枚になったら2本にし、さらに本葉5~6枚になったら1本にします。

最後の間引きの時に1㎡当たり化成肥料50gを施し、除草を兼ねて周囲の土とよく混ぜながら土寄せします。

秋栽培の場合は台風の時期と重なるので、苗が風で振り回されたり折れたりしないようしっかりと土寄せすることが大切です。

⑤その他の管理作業

ダイコンの秋まきではアブラムシの発生からウイルス病が発生します。防虫ネットをトンネル状にかけることは害虫防除だけでなく、台風などの大雨や強風対策にも有効です。また大雨で肥料が流されると、順調に肥大せず不味くなります。生育の様子を観察し、タイミングを計って追加の肥料や水やりをしましょう。

⑥収穫

秋まき栽培では、青首品種ではタネまきから約60日で、漬物品種では約70日で収穫となります。

葉の付け根を束ねてつかみ、真直ぐ上に抜きます。漬け物ダイコンは途中で折れないようにしっかりと首元をつかんで抜きます。

たくさん収穫できたら、一度抜いてまとめて埋めておきます。ダイコンが凍らないように緑の首元までしっかりと土をかけます。葉を切り落として埋めても良いですが、葉を残しておくとどこに埋めたかすぐにわかります。

冬の間中、必要な時に掘りだして食べることができます。

また天日に干して漬け物に利用しても良いでしょう。吊り干しはベランダでも手軽に楽しめます。

切り干しにして保存しても良いでしょう。

⑦その他:春大根のタネまき時期と保温資材の利用

春のダイコン栽培で最も問題となるのが「とう立ち」です。ダイコンは発芽した段階から低温の影響を受けて花芽ができて茎が伸び始めます。

花芽ができると根の肥大は止まり、肉質も落ちてしまいます。春まき用の品種を使い、タネをまく時期に注意するだけでなく、保温資材を上手に活用して「とう立ち」を防止します。

保温資材にはマルチやビニトンネルなどがあります。それぞれの資材は、図のように季節に応じて利用すると良いでしょう。

⑧ハツカダイコンの栽培について

畑には1㎡当たりたい肥2kg、苦土石灰100g、化成肥料50gを施し、よく耕しておきます。条間15cmで深さ1cm位のまき溝をつけてタネをすじまきします。

タネまきから約30日で収穫できます。何回かに分けてタネをまくと、連続して収穫できます。プランターで栽培する時は市販の培養土を用います。