夏場の育苗テクニック

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夏場の葉菜類の苗作りの難しさ

夏まき野菜の中でもキャベツやハクサイ、ブロッコリーなどをタネから栽培するのは難しいと思う人も多くいます。暑さの中でタネをまき、1カ月近く育苗するのですから初心者には抵抗があるかも知れません。また近年は異常とも言える高い気温が記録されるようになり、従来のやり方での苗作りでは良質の苗ができない可能性も出てきました。そこで今回は夏場の苗作りのポイントと猛暑対策について解説したいと思います。

ポイント1;芽が出るまでは水を切らさないようにする

タネをまいた後はしっかりと水をやります。そして気温が高い場合は芽が持ち上がるまでの2~3日間、軒下など直射日光の当たらない涼しい場所に置きます。新聞紙などをポットの上にかけて夏の強い陽ざしを受けないように工夫する人もいます。ただしこれは熟練者が用いる方法で、芽が出たことを頻繁に確認できない場合、新聞紙の下で芽が伸びてしまって逆に徒長した苗ができる危険性があるのであまりお勧めは出来ません。

土が乾くことのないよう注意は必要ですが、心配し過ぎてじゃぶじゃぶ水をあげるとタネは窒息して死んでしまいます。最初にしっかり水をやって涼しい場所に置いておけば、芽が出るまでの数日間は水をやる必要はないはずです。

ポイント2;芽だし後は、必要以上に水やりをしない

芽が出た後は、朝にしっかりと水をやり、夕方ポットの土が軽く乾くような管理が理想的です。夏の晴天時は、日中も水をやらないと枯れてしまう可能性がありますが、その場合も夕方にはポットの土が軽く乾くように軽く水やりします。午後の3~4時以降なら葉がしおれても水をやる必要がありません。水を我慢させることでしっかりとした苗ができます。

キャベツやブロッコリーの場合

タネをまいたあと、子葉が開くまでは乾かさないように管理します。

夕方は多少の萎れは我慢させます。

翌朝には萎れはなくなり、しっかりとした苗の完成!!

ハクサイの場合

ハクサイも同様に子葉が開くまでは乾かさないことが大事です。

夕方は多少のしおれは我慢させます。

しっかりとした苗の完成!!

水をやり過ぎると葉はどんどん徒長し、このようになってしまいます。

水をやり過ぎた軟弱な苗は、植えつけの後の活着が悪く、日照りに耐えらずに枯れる場合もあります。また軟弱な苗は病気になりやすく害虫の被害も受けやすくなります。

ポイント3;なるべく気温を下げるような環境を作る

地面近くは気温も高いので育苗台などを設置するとよいでしょう。

猛暑が予想される日は直射日光の当たらない軒下に取込むことや、寒冷紗を利用して苗に当る直射日光を和らげます。なお寒冷紗は防虫ネットの効果もあるのでおすすめです。