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栽培例の地域区分について

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商品パッケージの栽培例の各地域

タネの商品パッケージの裏には、皆さんの栽培の参考していただく目的で、“まく時期”と“収かく期”を示した栽培例がありますが、トーホクでは冷涼地と中間地、暖地の3地域に分けて栽培例を示しています。この各地域について説明します。

平均気温を使った地域区分

農林水産省の野菜・茶業試験場が1989年に発表した研究資料「全国野菜・花きの種類別作型分布の実態とその呼称(野菜編)」によれば、日本列島は各地の年平均気温の観測値から以下の5段階に分類されています。

寒 地;年平均気温9℃未満の地域
寒冷地;年平均気温9~12℃の地域
温暖地;年平均気温12~15℃の地域
暖 地;年平均気温15~18℃の地域
亜熱帯;年平均気温18℃以上の地域

参考までに年平均気温とは、1時から24時までの毎正時24回の観測値の平均値である日平均気温をもとに、その月の毎日の日平均気温の平均値である月平均気温を使い、1月から12月までの毎月の月平均気温の平均値で求められています。

トーホクでの区分け

トーホクでは基本的にこの研究資料に示される「寒地」と「寒冷地」を“冷涼地”とし、「温暖地」は“中間地”に、「暖地」と「亜熱帯」は“暖地”として便宜上3区分に分けております。

下の図は、研究資料にあります地域区分図をもとに野菜栽培用の地域分布を模式的に示したものです。


冷涼地;年平均気温12℃未満の地域;北海道、東北の大部分、全国の中山間地

中間地;年平均気温12~15℃の地域;東北の一部、北陸、関東、東海、近畿、中国

暖 地;年平均気温15℃以上の地域;本州の太平洋並びに瀬戸内海沿岸、四国、九州、沖縄、伊豆・小笠原など南方島しょ部

各地の状況に合わせた栽培を

なおこれら各地域内でも気温に差はあります。例えば地図上では中間地に属する地域でも、地形の関係や海岸沿いであることなどで冷涼地あるいは暖地に相当する地域もあります。特に本州内陸部の盆地は中間地並みの気温区分に、また図に示したように関東、東海、中国地方の海岸部は暖地並みの気温区分に含まれます。

更に近年は温暖化の影響で夏の猛暑の期間が長いことや、暖冬の年も多いことから、境界が北に移動している可能性もあります。

栽培にあたってはこれらの点を考慮し、商品パッケージに記載されている作物ごとの“発芽適温”と“生育適温”を参考に、各地域の現状に合わせて適温での栽培をお願いしております。