ハクサイ

 

  • 文字サイズ

①作物特性

本来ハクサイは冷涼で乾燥を好む野菜ですから、近年の異常とも言える激しい夏の暑さやゲリラ豪雨などは、ハクサイの栽培を難しくしています。ハクサイ作りで最も楽しみな秋冬どりは、通常旧盆過ぎの暑さが和らいできた頃にタネをまき始めますが、苗作りでは暑さ対策が必要です。また植えつけてからの豪雨による冠水対策なども考えねばなりません。それでも秋までに一定の大きさにしておけば、それ以降は特別な管理は不要で、寒さにあたってどんどん大きく、またおいしくなるのを待って収穫できます。
品種的には秋冬向きに病気や暑さに強い「早生」種、高品質でボリュウムのある「中生」種、寒さに強く長く畑に置ける「晩生」種、春から夏に収穫する「春まき晩抽」種などがあります。品種特性を理解して使い分ければ長く収穫を楽しめます。更にハクサイはキャベツなどの他のアブラナ科野菜も含めて連作すると根こぶ病と言う土壌病害が発生しやすくなります。根こぶ病に強い耐病性品種をうまく使うことも必要です。

②畑の準備

あらかじめ1 ㎡当り堆肥3kgと苦土石灰100g、化成肥料を100g施し、良く耕しておきます。そして幅120cmのうねを立てます。うねの高さは15 cm位が最適ですが、排水の悪い畑ではもう少し高いうねを立て、排水路を作ることもよいでしょう。泥のはね返りなどを防ぐ目的からマルチを使う栽培がおすすめです。

③タネまき:夏まき、秋・冬どりの場合

直接畑にタネをまくこともできますが、近年の異常気象を考えると、ポットにタネをまいて苗を育てることが良いでしょう。発芽適温は20~25℃ですから、気温が比較的涼しくなってからタネをまきましょう。直径9cm位のポットに市販の育苗培土を8分目までつめます。深さ1cm位のまき穴をあけ、3~5粒ずつタネをまきます。土をかけて上から軽くおさえ、最初は散水用のジョウロなどでていねいに水をやります。ポットの底から水がしみ出てくれば充分です。苗は日当たりの良い場所で育てます。本葉3枚頃に生育の良い株を残して間引きをします。間引きはハサミなどを使って不要な株を地際部で切りとります。

連結ポットを使ってタネまきする場合、なるべく大きな植穴のもの(例えば5×5穴)を使いましょう。

④植えつけ

タネまきから約3週間後、本葉5枚目頃が植えつけの適期です。植えつけの間隔は、条間は60cm、株間は40cmを基本とし、中生種や晩生種は株間を45cm位広くとります。深植えを避けてうね面と同じ高さになるようにポットがすっぽり入る位に植え穴をあけ、根鉢をくずさないように注意して植えます。なおこの時、ポットの根鉢の頭の部分に土をかけすぎないことがポイントです。植えつけは天気がよい日を選び、その後しっかりと水をやりましょう。

⑤管理作業・追肥

植えつけから15日目頃と、葉が立ち上がってきた頃の2回、株元に追肥し、軽く中耕します。

追肥の量は1株あたり化成肥料40~80gとします。ただし残暑が厳しい時期は肥料のやりすぎに注意する必要がありますから、追肥の量は少なめにします。

またこの時期はアブラムシやコナガなどの害虫が発生しやすいので、農薬などを適切に使って防除することも必要です。

⑥収穫

球の頭部分を押さえてかたく締まっているようなら収穫適期です。

頭を斜めに押し倒して、球と外葉の間の株元に包丁を差し入れ、切り取って収穫します。

中生種や晩生種であれば、12月上旬に外葉をひもでしばっておくと寒さに良く耐え、1月上旬まで畑に置くこともできます。

⑦その他:春まき栽培の場合

ハクサイは、小さい苗のうちに低温(気温12℃以下)にあたると花芽ができ、球になる前に花が咲いてしまいます。ポット育苗する場合は、最低温度が13℃以上に保てるような育苗床が必要です。

約30日育苗した本葉7枚程度の苗を作り、ソメイヨシノの開花前後に植えつけます。マルチだけでなく、不織布やビニールトンネルなどで寒さよけをしましょう。

不織布などは植えつけた苗がしっかり根付くまでの約2週間かけておきます。春まきの場合、植えつけ後約50日で収穫です。気温がどんどん上昇する季節ですから、結球したら早目に収穫します。